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 今から6年4か月前、私の一番下の子、絵美里の小学校卒業式のことです。卒業証書授与の前に、壇上で一人ひとり将来の夢を語るというイベントがありました。絵美里の番になり、それまでの誰よりも大きい声が、広い体育館に響き渡りました。「海外で活躍する国際的なバレリ−ナになります!」ピンと伸びた背筋、真っ直ぐ遠くを見つめる眼差しが、今でも忘れられません。

 小さい頃から1日中、家の中を走り回っている活発な子だった絵美里は、姉の影響で5歳から近くのよしえバレエ教室に通い始め、すぐ夢中になり、バレエ漬けの日々が始まりました。彼女が当時、片時も離さず読んでいた本が「バレエ日記」。ロンドンのバレエ学校に通う少女の物語です。まさか本当に通うことになるとは、その時は想像もしませんでした。小学校5年生でアクリ・堀本バレエアカデミ−(大宮・三橋)に移りました。ここは全国コンク−ルを目指す生徒が集まるバレエ教室で、ソフトテニスでいうと文大杉並高のようなところです。殆ど毎日夜10時過ぎまで続く厳しいレッスン。泣いて帰ってくる日も珍しくなく、母親にいつも「大丈夫。あなたならできる!」と励まされていました。家でも、有名なバレリ−ナのビデオを見たり、大鏡の前で練習したり、その向上心は尽きることがありませんでした。

 バレエコンク―ルは、10人程度の審査員を含め、多くの観衆が見守る舞台で、一人ひとり3分程度音楽に合わせて踊ります。全国大会など、150人位のどの出場者も完璧に演技しているように、私の素人目には見えます。 ひとつのミスも許されない極度の緊張感の中で、よくできるなと思いますが、絵美里はあがることが全くなく、全てのコンク−ルで上位入賞を逃したことがありません。豊富な練習量に裏打ちされた強いメンタルが彼女の強み・長所です。2013年ロ―ザンヌ国際バレエコンク―ル(スイス)に日本代表最年少15歳で出場。「San Francisco Ballet School」の短期留学を経て、2014年「English National Ballet school」(ロンドン)に、特待生として2年生編入学することが出来ました。

 それから2年、7月2日、卒業式を迎え、私も妻と共に出席してきました。卒業式と、前日・当日に行われる在校生全員による公演は、「New Wimbledon Theatre」に於いて、行われます。ここは、全英テニスで賑わっているウィンブルドン駅の近くで、公演は有料で一般公開されます。彼女の演技を久しぶりに見ました。2年間のバレエ学校の成果はやはり顕著なもので、観客すべてを魅了する存在感のある演技に感動しました。

 翌日の「British Theatre Guide」のReview欄でも、主役を演じた彼女の演技は絶賛されました。「3rd year student Emily Suzuki’s dazzling interpretation of Raymonda echoes that of Miyako Yoshida’s performance at the reopening of the Royal Opera House in 1999.」

 卒業生は、男性10人女性15人の計25人、それぞれ世界各国のバレエ団に進み、Professional ballerina としてのキャリアがスタ−トします。English National Balletに入団できたのは、わずか1人。なんと絵美里が選ばれたのです。英国人の母とは英語で会話する絵美里が、卒業式を終え、近寄って来て、笑顔で言いました。
「My dream came true!」




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浦和高校ソフトテニス部麗和会
Dream came true! 2016年7月10日 20:13